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ITシステムは資産?それとも負債?


ITシステムは資産?それとも負債?

御社のITシステムは資産でしょうか?それとも負債でしょうか?


 いきなり刺激的な問いかけで恐縮です。DX(デジタルトランスフォーメーション)が経済産業省のDXレポートをきっかけにビジネスの世界で広く知られるようになり、今ではすっかり経営トピックの一つとして定着した感があります。


 当コラムでも何度かDXについては取り上げており、課題や対処策について様々の観点で取り上げてきました。DXに取り組んでいるのは日本の公共部門や企業だけではなく、欧米でも最新のテクノロジーを活用した事例が多く報告されていますが、ここに来て日本と、特にアメリカの差がさらに広がりつつあるという危機感を強く持ち始めましたので冒頭の問いかけをさせていただいた次第です。


 日本企業では平均して企業内で計上されているIT予算の8割から9割が既存システムの保守運用に費やされ、新しい取り組みに使える予算は全体の1割もないと言われています。一方アメリカではその割合は半分程度とされています。日本企業ではIT予算をコストとみなす風潮が強く、元々それほど多くない予算の中で新しい取り組みに使える予算はその10分の一では、とても海外で欧米企業と伍して戦えるITシステムを構築できるとは思えません。


 また、既存のITシステムの保守運用に費やされる予算も企業競争力の強化に貢献していればその価値はあるのですが、多くは各部門の要望を個別に聞いて積み上げられた古く複雑なシステムになっていることが多く、変化の激しい時代に経営の足かせになっているのであれば深刻な事態です。今回はこの問題をご一緒に考えていければと考えております。


ITシステムは常に変化を求められている


 言うまでもなく、企業のITシステムは業務を効率的に行い事業を円滑に遂行するためのインフラです。ITシステムがなければ成り立たない事業も数多くあります。一方で事業、さらには事業を構成する業務には寿命があります。これは経理や給与計算といったコンピューターが企業で使われるようになった初期から定型業務としてシステム化の対象となった業務分野にも例外はなく、制度変更のような外的要因、コスト削減要請といった内的要因の両面から、ITシステムは常に変更要求にさらされていると言えましょう。


 また企業の業務の多くは部門内で完結するものは少なく、したがって一見個別の業務を遂行するためだけに存在しているように見えるITシステムも裏側では密接に複雑にからみあっています。さらに新しいビジネスモデルを支えるために新しいITシステムもどんどん開発されるので、既存のITシステムとの連携や整合性も常に考えなければいけません。ITシステムは常に変化を求められる存在だと言えましょう。


保守運用で手一杯で、新しい事に着手できない


 問題は限られたIT部門の人員と予算が、現行業務を支えるITシステムの維持で精一杯になってしまっている事です。これでは新しいビジネスモデルの創出を目指すDXに着手する余力がありません。ほとんどの企業、特に大企業では各部門の要求に応じて個別に開発を重ねてきた結果、企業全体のITシステムは個別業務システムの複雑な集合体になっており、しかも各個別のシステムが共通のデータを参照したりするので一か所変更すればすぐに他方に変更が出てしまい、ちょっとした変更もたちまち一大プロジェクトになってしまいます。


 また新しいITシステムに合わせて業務プロセスを変更しようとすると、既存のやり方になれた現場の反発を買いがちという問題もあります。そのため問題を先送りしたり、数十年前のシステムをずっと使い続けたりといった事態になってしまっているのです。DXの時代、変化に柔軟かつ迅速に対応できるITシステムこそが求められていますが、既存のITシステムが足かせとなってしまっているのです。


対応の方向性


 今日も各企業でITシステムは日常業務を支えています。それがどんなに老朽化したものであっても、一朝一夕に変更できない現実はあります。だからといって、そのままいくとどのような事態になるかはDXレポートで警鐘を鳴らされた通りです。幸い、クラウド、Saas、ERP、マイクロサービス等、老朽化したITシステムから脱却するテクノロジーやアーキテクチャーがすでに多く世の中で使われており、同じ問題から脱却した事例も多数あります。


 まずは改めて自社の現状を客観的に見直すことが大事なのではないでしょうか?手をつけるのは大変。。と問題を先送りせず、自社の今後の存続と発展のために経営陣がリーダーシップをとって決断することが何より求められていると思います。


【免責事項】

本稿は、一般的な事項についての情報提供を目的として作成されたものであり、実際の遂行にあたっては、多くの場合関連法規の検討、並びに専門家との協同が必要になります。このため、執筆者並びにその所属先は、本稿の利用に起因する如何なる直接的・間接的な損害に対しても一切の責任を負いかねます。また、本稿記載の情報は作成時点における調査に基づいたものであり、随時更新される可能性がありますことをご了承ください。


 

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